最近の除細動器

先日、フェローシップの時にお世話になっていたDr.シュバイツアーとご飯を食べにでかけました。その際、昔のカテーテル検査の話などになったのですが、本当、昔に比べて循環器の手技は安全、そして簡単になったなあ、と思います。テクノロジーの進歩はすごいものです。

1960年以前は除細動器さえなかったので、カテーテル検査中に心室細動になると開胸になる事もあった、などという話も出たのですが、最近は除細動器も進化してきています。私がフェローだったころは、埋め込み式の除細動器(ICD)の件数が飛躍的に増えていたころだったのですが、それも落ち着いてきました。最近では除細動器も多様になってきていて、着用型の除細動器であるライフベストや皮下埋め込み除細動器が毎日の診療の中でも使われるようになってきています。

埋め込み式除細動器はペースメーカーのようなものですが、致死的不整脈である心室細動/頻脈を起こした時に、電気ショックをかけてもとに戻す事ができ、突然死のリスクの高い患者さんに適応になります。ガイドラインでの一次予防としての適応は、1)心筋梗塞後40日以上で、心機能が低下している場合、2)心機能が悪くて心不全症状があり、治療により心機能が改善しない場合、などです。公的保険であるメデイケアでは、この治療期間を3ヶ月としており、ステントやバイパス手術をした場合は3ヶ月、心不全の薬物治療を始めてからは3ヶ月後に心機能を再評価する事が求められます。

この3ヶ月の待ち時間のリスクが心配な場合、“着る除細動器”であるライフベストを用いる事ができます。ただ、実際には早期に除細動器を用いる事で予後を改善するという治験は行われておらず、 過去には心筋梗塞後40日以内の埋め込み型除細動器は長期予後を改善しないというデータもあります(DINAMIT trial)。先日のカンファレンスで周産期心筋症の患者さんにライフベストを用いるかどうか決める際、結局データには基づかず、医師が感情的に突然死してほしくない患者さんにライフベストを用いているだけではないか、との指摘がなされていました。

そして、最近私の病院では皮下埋め込み型の除細動器が用いられるようになってきました。今までの埋め込み式除細動器はペースメーカーと同じで静脈に導線が入るのですが、この除細動器は静脈を介さず、すべて皮下に埋め込まれます。2010年にNew England Journal of Medicineに発表された後、アメリカでは2012年に認可されました。静脈を介する事で起こる合併症(感染症など)を減らす事を期待されており、ペースメーカー機能なしで除細動器のみが必要な患者さんに用いる事ができます。先日、初期のレジストリーの882人の2年間のフォローアップの論文が出され、データも集まって来ています 。

循環器の治療機器は次々と発展しており、まだまだ将来が楽しみです。

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